「大丈夫だよ。リゼットが思っているほど、僕は貧乏じゃない。この家の中を見てもらえれば納得すると思うんだ。例えばあそこ! 色々な布があるんだけど、見えるかな?」
「どこですか?」
角度が悪いのか、高さが足りないのか。ユベールの指差す方向に視線を向けても、布らしき物が見えなかった。
すると、ユベールは私を抱き上げようと腕を伸ばす。途端、赤く腫れた右腕が視界に入った。
さっき聞こえたのは、これ? どこかにぶつけたような声だったから、きっとそうね。
私は咄嗟にユベールの右腕に触れた。静止させるわけではなく、治療するために。
「ヒール」
胸元の魔石がそれに応えるように赤く光る。先ほどのような強い光ではなかったが、私とユベールを包むには十分な光だった。消えるのと同時に、腫れも引いていく。
良かった。上手くできた。でもそれは見た目だけ。
「まだ痛みますか?」
「ううん。大丈夫みたいだ。凄いね、魔法って」
「そんなことはありません。私、下手だからこれくらいしかできないけれど」
「十分だよ。あっ、でもあまり使わないでね。赤い光が家の外に漏れると、怪しまれるから」
確かに人形が動いたり、喋ったりする姿を見られて、ユベールが変な人に見られるのは大変だ。私は深く頷く。
「ありがとう。それじゃリゼット。そろそろ向こうに移動してもいいかな?」
「はい」
私は両手を上げて、ユベールの腕を迎え入れた。
「どこですか?」
角度が悪いのか、高さが足りないのか。ユベールの指差す方向に視線を向けても、布らしき物が見えなかった。
すると、ユベールは私を抱き上げようと腕を伸ばす。途端、赤く腫れた右腕が視界に入った。
さっき聞こえたのは、これ? どこかにぶつけたような声だったから、きっとそうね。
私は咄嗟にユベールの右腕に触れた。静止させるわけではなく、治療するために。
「ヒール」
胸元の魔石がそれに応えるように赤く光る。先ほどのような強い光ではなかったが、私とユベールを包むには十分な光だった。消えるのと同時に、腫れも引いていく。
良かった。上手くできた。でもそれは見た目だけ。
「まだ痛みますか?」
「ううん。大丈夫みたいだ。凄いね、魔法って」
「そんなことはありません。私、下手だからこれくらいしかできないけれど」
「十分だよ。あっ、でもあまり使わないでね。赤い光が家の外に漏れると、怪しまれるから」
確かに人形が動いたり、喋ったりする姿を見られて、ユベールが変な人に見られるのは大変だ。私は深く頷く。
「ありがとう。それじゃリゼット。そろそろ向こうに移動してもいいかな?」
「はい」
私は両手を上げて、ユベールの腕を迎え入れた。