「ごめん。僕はその疑問に答えることができないんだ」
「そう、ですよね」
いくらヴィクトル様に似ているといっても、ユベールという名前に聞き覚えはなかった。
幼い頃からマニフィカ公爵家で育った私は、いずれ公爵夫人となるため、主だった貴族の名前や特徴などを覚えさせられた。それと共に、マニフィカ公爵家の親戚たちのことも。
やはり身内ということもあり、似た名前や特徴に、苦労した記憶がある。勿論、その中にはヴィクトル様に似た容姿の方もいらっしゃった。
しかし、ユベールという名前は知らない。
魔術が一向に進展しなかった私は、せめて暗記だけは、と頑張った。
魔術書は勿論のこと、貴族名鑑や先生に言われたことも。故に公爵夫妻や、使用人たちの言葉さえもすぐに忘れることはできなかったのだ。
だから、ユベールの言っていることは正しい。でも、と浮かんだ疑問を口にした。
「私がリゼットかどうか、確認したのは何故ですか?」
「それは……えっと、お祖父様の遺言で君を探していたんだ」
「お祖父様?」
「そう、ですよね」
いくらヴィクトル様に似ているといっても、ユベールという名前に聞き覚えはなかった。
幼い頃からマニフィカ公爵家で育った私は、いずれ公爵夫人となるため、主だった貴族の名前や特徴などを覚えさせられた。それと共に、マニフィカ公爵家の親戚たちのことも。
やはり身内ということもあり、似た名前や特徴に、苦労した記憶がある。勿論、その中にはヴィクトル様に似た容姿の方もいらっしゃった。
しかし、ユベールという名前は知らない。
魔術が一向に進展しなかった私は、せめて暗記だけは、と頑張った。
魔術書は勿論のこと、貴族名鑑や先生に言われたことも。故に公爵夫妻や、使用人たちの言葉さえもすぐに忘れることはできなかったのだ。
だから、ユベールの言っていることは正しい。でも、と浮かんだ疑問を口にした。
「私がリゼットかどうか、確認したのは何故ですか?」
「それは……えっと、お祖父様の遺言で君を探していたんだ」
「お祖父様?」