「僕は気にすること、ないと思うけどな。むしろ、虫除けにもなるし」

 帰宅後、作業台の椅子に座るユベールに、それを報告した。

「プロポーズの言葉も一緒に広めてもらう?」
「それはダメ。私たちのところに留めておいて。汚されたくない」

 すると振り返り、私の手を取った。

「今日でようやく、僕たちの夢が叶うんだね。リゼット。改めて僕の家族になって」

 一字一句違えずに、昨夜告げた言葉を言うユベール。

「こちらこそ、喜んで」

 だから私も、同じ回答をした。
 そして同じようにユベールは、私を抱き締めてキスをする。一つだけ違うのは、すでに私の左薬指には、指輪がはめられていることだった。
 ユベールの瞳の色と同じアメジストがついた指輪を。

「確かに、これは僕たちの中だけに留めておきたいかも。リゼットのこんな可愛い顔まで、想像なんてさせたくないからね」
「分かってくれたのはいいけど、言い方……」
「そうかな。そんな変なことを言っていないと思うけど。僕は事実を言っているだけなんだから。特にその後の顔なんて――……」
「い、言わなくていい!」