「それで、プロポーズはしてもらえたの?」
「えっと……」

 同僚のマーガレット・シブリルの質問に、私はただただ驚くしかなかった。何故なら、私は昨夜、プロポーズをされたからだ。勿論、ユベールに。

「何でそう思ったの?」
「簡単な話よ。昨日はリゼットの十八歳の誕生日で、結婚適齢期に入ったんだから。それを婚約者であるユベールが見逃すとは思えないの。何せ、リゼットに近づく男を見れば、顧客の魔術師を使ってまで嫌がらせをするくらいなんだから」

 そう、アコルセファムに来てから三年の月日が流れ、私は昨日、無事に十八歳の誕生日を迎えた。
 ずっと十五歳の姿のまま、人形だった私が、また一つ歳を重ねたのだ。ユベールと一緒に。

 けれど、私の業務内容は三年経った今でも、あまり変わっていない。落ち着いたら適切な部署に、という話だったが、今も変わらず私の職場はサビーナ先生の執務室。
 マーガレットは、私一人では回らないことを察したアルベール会長が手配してくれた、貴重な人材であり、同僚だった。

 口が悪いのは、魔術師協会の人間の特徴なのだろうか。アルベール会長といい、マーガレットとといい、ここはそういう人間が多かった。