「リゼット。紹介するわね。この方が現、魔術師協会の会長を務める、アルベール・フォルトよ。彼も私の教え子なの」
「あの、サビーナ先生?」
「何?」
「他に言うことがあるのではないですか?」

 承諾も無しに入室。さらに勝手に紹介。これは……明らかに失礼では?

「あら、私としたことが。只今戻りました。それでこちらが――……」
「もういい、エルランジュ女史。君はもう喋るな。リゼット、と言ったか。どうやら君はマトモなようだ。すまないが、当分の君の仕事は、エルランジュ女史が溜めに溜めた書類を、代わりに処理してくれ。やり方は――……」
「待ってください。もしかして、補佐というのは……」

 サビーナ先生もサビーナ先生だが、アルベールという人もまた大概だった。
 挨拶も無しに本題に入り、さらには突然、仕事の説明をし出すところが何とも。さすがは教え子。いや、私もそうなんだけど……。
 なんだろう、この違い。もう、訳が分からなかった。

 しかし、私の心情などお構いなしに話はどんどん進んでいく。