それからはもう、目まぐるしい日々だった。
 荷物が散乱している家を、ユベール一人に託し、私とサビーナ先生はアコルセファムの中心に聳え立つ、魔術師協会の本部へ向かった。

 何でも、アコルセファムに帰って来たのに、挨拶もないとはどういうことだ! という人物がいるのだそうだ。

「悪い人ではないのよ。口が悪いってだけで」
「それはちょっと……怖いです」
「でもね、リゼットのことを相談したら、魔術師協会で働く手続きを全部やってくれた人なの。あと、私の補佐をするように薦めてくれたのもね」

 廊下を歩きながら、私にウィンクするサビーナ先生。
 気持ちを落ち着かせるようにしているのか、はたまた相手の印象をよくするための演出なのか。後者でないことを祈った。

「失礼するわよ」

 しかし、そのどれでもないことを、私はすぐに知ることになる。ノックも無しに扉を開けるサビーナ先生の姿を見て。