◆◇◆

 親愛なるリゼットへ

 まずは謝らせてほしい。すまなかった。
 婚約破棄を言い渡したのは、リゼットを責務から解放したかっただけなんだ。
 私がリゼットの立場を追い詰めた。その自覚があったから。と今さら言い訳しても許されるものではない。
 しかし、これだけは分かってほしい。いや、知っていてほしい。
 私がリゼットを愛していることを。

 だから、エルランジュ女史に頼んだことは、エゴでしかない。リゼットには生きていてほしい。どんな形でも……。

 こんな情けない私を、嫌っても構わないから。

 ヴィクトル・マニフィカ

 ◆◇◆