白銀の世界でみるユベールは、自身の銀髪と相まって、どこか神秘的に見えた。私は紫色の瞳に吸い込まれるように、その手を取る。

「行こう、リゼット。サビーナさんは……殺しても死にそうにない人だから、大丈夫だよ」
「……ユベール。それ、褒めていないわ」

 物騒なことを口走るユベールの傍にいる方が、危険なんじゃないかと、一瞬だけ思ってしまった。

 そう、一瞬だけ。何故なら、すぐに目に飛び込んできたからだ。

 私が会いたかった、見たかった、ヴィクトル様が眠る灰色の墓石。英雄に相応しい、大きな墓石だった。知らない者が通ったら、石碑かと勘違いしてしまうかもしれない。

 けれどこの冷たい感じが、ヴィクトル様そのものに見えた。

「ヴィクトル、様……」

 一歩、二歩と前に踏み出すと、裾を引っ張られた。隣にいる、ユベールに。