「サビーナさん。前も思いましたが、突然、部屋に入って来ないでくれませんか? 僕はともかく、リゼットがビックリするので」

 サビーナ先生がゆっくりと椅子に座ると、ユベールは間髪入れずに噛みついた。確かに驚いたのは事実だけど、そこまで言わなくてもいいのに、と思ってしまう。

「あら、もう彼氏面? 別に構わないけれど、私が今からする提案を聞いても、同じことが言えるのかしら」
「盗み聞きしていたのに、ですか?」

 サビーナ先生が? 盗み聞き? どうして分かるの?

 そう疑問を抱いた瞬間、サビーナ先生の「彼氏面」という言葉にハッとなった。何せユベールが私を、私がユベールに想いを告げたのは、ついさきほどの出来事だったからだ。

 しかも、提案という言葉が、嫌でも信憑性を高める。

「邪魔しないであげていた、の間違いよ、ユベールくん。逆に感謝してもらいたいわね」
「でしたら、もう少し待ってもらえると有り難かったです」
「何を言っているの。貴方たちは若いんだから、イチャイチャくらい、後でだって十分できるでしょう?」
「さ、サビーナ先生!」