だから、ユベールの反応を見るのが怖くて、恥ずかしくて、私は目を瞑り、ほんの少しだけ頭を下げた。けれどやっぱり見てみたくて、目線だけを動かした。

 すると、私の視線に気づいたユベールは、呆然とした表情を崩し、嬉しそうに微笑む。それを見た瞬間、私は自然と体が動き、気がつくとユベールを抱き締めていた。

 受け入れてくれたのが、嬉しくて、堪らなくて。その想いが溢れるほど、胸が苦しくなった。

 それを鎮めるのも、苦しくさせるのも、ユベールだけ。
 いくら顔が似ていても、ヴィクトル様ではもう、こんな想いを抱くことはない。
 それくらい、ユベールのことが好きになっていた。

「ありがとう、リゼット」
「こっちこそ、ユベールが言ってくれなかったら、多分、言えなかったと思うから、ありがとう」
「……実は、打算があったって言ったら、失望する?」
「う~ん。内容によるかな」

 人形だった頃から私の世話を焼きたがっていたユベールのことだ。私にとって不利益なことだとは思えない。想いが通じた今なら、尚更だ。