次に目が覚めた時、目の前には信じられない光景が広がっていた。
 足を組んで椅子に座っている人物。その人は――……。

「サビーナ……先生……?」

 流れる金髪は、暗くても分かるほどに美しく。向けられた青い瞳はキツくとも、優しい眼差しを私に向けてくれる。
 そう、私の魔術の先生。サビーナ・エルランジュ先生だ。

 どうして、私の目の前に? いや、それよりもここはどこ?

 辺りを見渡して、状況を確認する。
 灯りの点いていない室内。木の匂い。顔を動かさなくても、目の見える範囲内にある、左右の壁。
 そこから導き出せるのは、小屋だった。

 マニフィカ公爵邸にも、こんな小屋はあったと思うけれど、残念ながら私は中に入ったことがない。だから、ここが邸宅の敷地内であるかどうかまでは判断できなかった。

 分かるのはせいぜい、夜だということくらい。