「まずは火事を止めてくれたこと。大惨事をよく防いだわね。怪我人は、あのお嬢さんだけだけど、それもリゼットが治したことで、死傷者はゼロよ。良くやったわね。偉いわ」

 私のほしい言葉をくれた。

「そして何より、貴女の姿をもう一度見られたことが嬉しくて仕方がないの。こうして温もりを感じることも、抱き締められることも、人だからこそできることだから。ありがとう、リゼット。戻って来てくれて」

 優しく包み込み、人間に戻れたことを喜んでくれた。私が出来損ないであることも、全て知っているのに、サビーナ先生は……!

 返事をしたいのに、気持ちが溢れ過ぎていて言葉が出てこない。その代わりに、私はサビーナ先生にしがみついて泣いた。
 たくさん泣いて、泣いて。感情の波に抗えないほど、涙が止まらなかった。

「うっ……ううっ……」
「ふふふっ。本当に可愛いわね、私の大事な大事な娘は」

 サビーナ先生は腕の力を緩めずに、ずっと抱き締め続けてくれた。
 時折、頭や背中を撫でてくれたり、宥めるようにポンポン叩いてくれたり。まるで本当の母親のように、無償の愛で包み込んでくれるから、それが嬉しくて嬉しくて堪らなかった。