「あの、さっきの続きとは少し違うんですが、質問していいですか?」

 私は部屋に着くなり、サビーナ先生に尋ねた。

「いいわよ。何かしら」
「さっきシビルさんの症状を見て、気になったんです。ユベールには何故、火傷の跡がなかったのでしょうか」

 あと、私も。火の中に飛び込んだのかも憶えていないけれど、ユベールを抱き締めていた、というのなら、そうなのだろう。

 またシビルにしても、あの炎を浴びたという割には軽傷だった。恐らく、私が人間に戻る過程で、何かがあったに違いない。そうでなければ説明がつかなかった。

「実際、見ていないからあくまで仮定として話すけれど、リペアを使ったんだと思うわ」
「リペア? 修復魔法ですよね。回復魔法ではないんですか?」
「えぇ。二人をホテルに預けた後、ユベールくんの家に行ったのよ。確認というか、現場を把握しておかないと危ないでしょう」

 何が? と首を傾げていると、困ったような顔をされた。いや、やれやれと呆れられたのかもしれない。