「え? 治せるの?」
「私も魔術師ですから。あと、治癒魔法は得意なんです」
「そうね。リゼットは昔から、攻撃魔法よりも治癒魔法の方が長けていたわ。だから、ユベールくんの火傷を治せたのね」

 その時の記憶はないけれど、今のシビルを説得するには有効的だった。シビルを(なだ)めるにはまず、嘆いていた大元を治さなければ、話にならない。

 けれど、恋敵ともいえる私の手を、果たして取ってくれるだろうか。罪も認めてくれるだろうか。自分は悪くないと思っているシビルが……。

 この天秤がどちらに傾くのか、私は祈るようにシビルを見つめた。

「分かったわ。あんたの言う通りにしてあげる。でも、綺麗に治さなかったら許さないんだからね」
「はい。構いません。けれど、約束は守ってください。ここにいる人たちが、その証人です。いいですよね」

 私はユベール、サビーナ先生へと視線を動かし、最後にシビルのご両親へと顔を向けた。

「それに関しては、私たちが責任を負おう。だからシビルを……!」
「はい、お任せください」