「いい加減にしなさいよ。さっきから私のことを無視して。誰のせいで、こんな醜い姿にされたと思っているのよ」
「自業自得だろ。俺とリゼットが家にいるのに、火を付けようとしたんだから」
「だから何よ! ユベールが素直に、ウチに来ないのが悪いんじゃない。だから……だから、私は……」

 あくまでも自分は悪くない。悪いのは私とユベールだと言いたい、思いたい。だけど、言えば言うほど、冷たい目線と言葉が返ってくる。

 そんな哀れな姿を見ていると、心の悲鳴が聞こえてくるようだった。

 ――どうして私を慰めてくれないの?
 ――どうして誰も優しくしてくれないの?
 ――どうして味方になってくれないの?

 かつて私も抱いた気持ちだった。使用人からの嫌がらせと嫌味に疲弊して、何もかもが悲しくて、辛かった時に抱いた感情。

 私はシビルに近づいて、その手を取った。火傷でただれた手を、両手で包み込む。