ここは何処だろう。ふわふわする。

 夢の中? それとも……死後の世界なのかしら。

 けど想像より、薄暗い。もっと明るいところだと思っていたのに。
 ううん。私はユベールのお祖母様やお父様方、ご兄弟を不幸にした身。薄暗い方が似合っている。

 でも……。

「あんなに『死』を願っていたのに、今は……」

 死にたくない。死が怖いんじゃなくて、ユベールを残していくのが怖かった。

 私がサビーナ先生のところに行くことさえも、嫌がったユベール。
 一人になりたくないと言ったユベール。
 傍にいて、と懇願したユベール。

 今の私は、そんなユベールが愛おしかった。ヴィクトル様に似ているからじゃない。私を求めてくれるからだ。必要だと、言ってくれるからだった。

 何もできなくても、ただ傍にいてほしい、と。
 役に立たない私の世話を焼きたがって、逆にその姿にアタフタしてしまった。

 でもそれは、人形としての私に対しての行為だ。
 ユベールは人間の私も必要としてくれるかな……。
 いざという時でさえ、必要な時に必要な魔法が使えない私を、責めないでいてくれるかな……。

 私に失望しないで、いてくれる……?

 怖い……。もしも、否定されたら、と思うと聞くのが怖かった。けれど言わなければ、ユベールに伝わらない。

 出会ってまだ三カ月。私もユベールの知らないところが多いように、ユベールもまた私のことをよく知らない。だから聞いてみないと。怖くても、勇気を出して。

「こんな私でも……ユベールの傍に、いていい?」