途端、燃え上がる炎。

「え?」

 何で? どうして?

「キャャャャャャャャャャャャーーー!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!!」

 二人の悲鳴にハッとなった。

「ユベール!」

 けれど炎は、それに呼応するかのように勢いを増していった。
 赤く、高く燃え広がる炎。背の高い草にまで引火して、その奥にある家が見えなくなってしまった。すると次第に灰色の煙がもくもくと現れて、行く手を阻む。

「どうしたら……水……水……そうだ。火には水。水で消さないと」

 広域魔法は苦手だけど、これなら……!

「アクアスプラッシュ!」

 両手を前に出し、炎に向けて大量の水を飛ばした。しかし、炎の勢いが強過ぎて、すぐに消えてはくれなかった。
 だから何度も何度も水をぶつける。

「こんな時まで役立たずだなんて……」

 けれどどんなに水魔法をぶつけても、炎の勢いは止まらない。

 何で? どうして? 消えてよ! お願いだから……!