ユベールが赤毛の少女と何か話している。よく聞こえなかったけれど、それを見ているだけで胸がモヤッとした。

 私も人間の姿だったら、堂々と二人の間に割って入るのに……。それができなくて、もどかしかった。

 すると突然、赤毛の少女が笑い出す。松明を振り上げて、家を燃やそうとしていたのだ。

「そうよ、無くなっちゃえば。無くなっちゃえばいいのよ。そうすれば……!」
「望みが叶うんですか?」

 思わず口に出ていた。呟きにも似た、小さな声で。だからまさか、赤毛の少女に届いていたとは思わなかったのだ。

 身を隠していたし、草という壁で聞こえるはずがない。その安心感から出た言葉だったのに。私はさらに身を縮めた。

「出て来なさいよ!」「卑怯者!」

 次々に浴びせられる罵倒に、体が震えた。フラッシュバックのように、幻の使用人たちの姿が私を囲む。

 怖い……ユベール……!

 するとユベールは赤毛の少女の手を取っている。私ではなく、彼女の……!

「やめて!」