「ブリットさん!」
ユベールは慌てて、ブリットと呼んだ女性の手から私を奪い取った。
「この人形は売り物ではありません! 確認もなしに、話を進めないでください」
「あら、それは残念ね。でも、こんな場所に人形を連れて来るユベールくんも悪いのよ。ここには注文と納品のみ。着飾った人形を見れば、誰だって勘ぐるものよ。違うかしら」
確かに。ブリットの言う通りだ。しかし、ユベールは私を鞄から出したわけじゃない。だから、筋違いではあるんだけど……。
何せ相手は取引先の人間。ユベールとて、無下にするわけにはいかないだろう。
「ですが、この人形はお祖父様と縁があるものでして。最近、ようやく見つけることができたんです」
「お祖父様って確か……英雄の?」
「はい。英雄と呼ばれている方ですが、この人形を探してほしい、という遺言を遺されたんです。父たちは無視していましたが、孫の僕はこの通り、人形に纏わる仕事をしていますから。これも縁だと思って探したんです」
「まぁ、そうだったの」
苦労したのね、とユベールの演技も相まって、ブリットは感激していた。けれどここで終わらせないのがユベールだった。
ユベールは慌てて、ブリットと呼んだ女性の手から私を奪い取った。
「この人形は売り物ではありません! 確認もなしに、話を進めないでください」
「あら、それは残念ね。でも、こんな場所に人形を連れて来るユベールくんも悪いのよ。ここには注文と納品のみ。着飾った人形を見れば、誰だって勘ぐるものよ。違うかしら」
確かに。ブリットの言う通りだ。しかし、ユベールは私を鞄から出したわけじゃない。だから、筋違いではあるんだけど……。
何せ相手は取引先の人間。ユベールとて、無下にするわけにはいかないだろう。
「ですが、この人形はお祖父様と縁があるものでして。最近、ようやく見つけることができたんです」
「お祖父様って確か……英雄の?」
「はい。英雄と呼ばれている方ですが、この人形を探してほしい、という遺言を遺されたんです。父たちは無視していましたが、孫の僕はこの通り、人形に纏わる仕事をしていますから。これも縁だと思って探したんです」
「まぁ、そうだったの」
苦労したのね、とユベールの演技も相まって、ブリットは感激していた。けれどここで終わらせないのがユベールだった。