「あら、ユベールくん。今日は可愛い人形を持って来たのね」
「っ! あ、いや、これは……」

 ユベールが口籠っている隙に、私は声の主に持ち上げられた。急に明るい場所に移動したことも相まって、私の緊張はさらに高まる。

 人形……そう、人形の振りをしなくちゃ……!

 それでも私は目を閉じたくて仕方がなかった。
 何せ相手の女性は、私を人形だと思っている。だからジロジロと見つめるだけではなく、服を摘まんだり、捲ったりしてきたからだ。まるで値踏みをするように。

「派手さはないけれど、この服もいいわね。この人形と一緒に買い取らせて」

 な、何を言っているの!? この人は。というか、怖い! 下ろして!

 助けて、ユベール!