「大丈夫。リゼットが一人でも着られる服だから」
「良かったです」

 最近、慣れてきたせいもあって、躊躇(ためら)わずに自分の感情を吐き出せるようになってきた。
 お陰でユベールは、複雑な服ではなく、私一人でも着られる簡易的な服を作ってくれるようになったのだ。

 そして渡されたのが、紫色のワンピース。
 お出かけ用だからか、フリルは少な目。スカートの広がりも抑えたワンピースだった。肩と腕が出ていないのもいい。

「仕上げは僕にやらせて」

 着替え終えて出てくると、すかさずユベールがやって来て、私の頭にヘッドドレスをつけた。

「ボンネットではないんですね」
「基本、鞄の中にいてもらうことになるから、邪魔になると思ったんだ。紐が緩むと視界が遮るだろう?」
「あっ、確かに」

 以前、そうなって、自分では直せなかったことがあった。

「これでよしっと。それじゃ、行こうか」
「はい!」

 できれば鏡で確認させてほしかったが、急いでいたらと思ったら、さすがに口には出せなかった。けれど、帰ってきたら言ってみよう。

 だって、折角ユベールに着飾ってもらったんだから。