トコトコ……トコトコ……。
「リゼット」
いつものように、日課の室内散歩をしていると、ユベールから声をかけられた。これもまたいつものことなのだが、ユベールの様子が明らかに違う。
普段のラフな格好ではなく、白いYシャツにネイビーのジャケット。コバルトグリーンのタイまで付けて、如何にも出かけます、といった装いだった。
思わずその姿に見惚れてしまう。何故なら、幼き頃のヴィクトル様、そのものだったからだ。
見比べてはいけない、と心の奥では分かっているのに、止められない。私はただ、ボーッとその姿を眺めた。
「ちょっとブディックまで行くんだけど、リゼットも行かない?」
「いいんですか?」
その内に行こうと言われていたが、サビーナ先生の登場や私の歩行などで、有耶無耶になっていた。
「うん。もし何かあっても、今のリゼットは自分で歩けるし、何よりも魔法が使えるから大丈夫だと思うんだ。まぁ、気分が乗ならないのなら仕方がないけど」
「いいえ。是非、行かせてください!」
「分かった。折角だから、リゼットもおめかしして行こうか」
「えっ……」
私が身を引くと、ユベールに苦笑されてしまった。
「リゼット」
いつものように、日課の室内散歩をしていると、ユベールから声をかけられた。これもまたいつものことなのだが、ユベールの様子が明らかに違う。
普段のラフな格好ではなく、白いYシャツにネイビーのジャケット。コバルトグリーンのタイまで付けて、如何にも出かけます、といった装いだった。
思わずその姿に見惚れてしまう。何故なら、幼き頃のヴィクトル様、そのものだったからだ。
見比べてはいけない、と心の奥では分かっているのに、止められない。私はただ、ボーッとその姿を眺めた。
「ちょっとブディックまで行くんだけど、リゼットも行かない?」
「いいんですか?」
その内に行こうと言われていたが、サビーナ先生の登場や私の歩行などで、有耶無耶になっていた。
「うん。もし何かあっても、今のリゼットは自分で歩けるし、何よりも魔法が使えるから大丈夫だと思うんだ。まぁ、気分が乗ならないのなら仕方がないけど」
「いいえ。是非、行かせてください!」
「分かった。折角だから、リゼットもおめかしして行こうか」
「えっ……」
私が身を引くと、ユベールに苦笑されてしまった。