「ユベール。私が歩けるようになって、うるさくないですか?」

 そう、作業の邪魔をしていないか心配だったのだ。

「ううん。むしろ音がしている方が安心するよ。リゼットがいるんだって分かるから」

『あら、部屋にいらしたんですか? 音がしなかったので気づきませんでした』

 そう言って無断で部屋に入って来た使用人たち。

『やっぱりここにいた。図書室で音がしていると分かるんだ。リゼットがいるって』

 けれどヴィクトル様もユベールと同じように、安心した表情で、そう言ってくれる。ここにいていいと言ってくれているようで、私もまた安心するのだ。

 そんなところも似ている二人。

 だからなのか、こんな私をヴィクトル様は愛してくれたから、ユベールも……と期待してしまう。あんなに期待されるのが怖かったのに。

 それなのに私は……期待しても、いいのかな……?

 長い間、誰かに期待することさえもできずにいたからだろうか。したらいけないような気がしてならなかった。