「疲れた」

 自室の扉に背中を預けながら、私は呟いた。

 何になんて決まっている。生きていること、そのものに対してだ。
 けれど、ようやく解放されるのだ。一週間後には。

「これでもう、頑張らなくてもいいんだ」

 そう思うだけで、気持ちが楽になったような気がした。
 一日中部屋に籠り、何十時間と机にへばりつく日々も、同じ魔術書を何日も何日も熟読する日々も。する必要はないのだ。

 失敗が続いて落胆することも、価値のない自分に泣くこともまた……。

「それなのに何故、私は泣いているの?」

 辛かった日々を思い出せば思い出すほど、気持ちが溢れて胸が苦しくなった。それに呼応するように、じんわりと目に涙が溜まっていく。