私と違ってユベールは、この時代の人間。仕事だってしている。私しかいないなんて……そんなことはあり得ないわ。

 早く人間になって、ユベールを解放してあげたい、と思った瞬間、胸がズキンと痛んだ。

「リゼット、無理に答える必要はないよ。サビーナさんはただ、揶揄っているだけなんだから」
「は、はい」

 けれどその必死な顔を見ていたらつい。

「可愛いです」
「っ! できればカッコいいが聞きたかった」

 最後は聞こえないように言ったのだろう。けれどユベールの腕の中にいる私には、しっかりと聞こえてしまった。

 今の私はどんな顔をしているんだろう。ユベールは豊かになったと言っていたから、きっと……。

 チラッとサビーナ先生の方を見ると、温かい視線を向けられ、私はいたたまれない気持ちになった。