「ありがとう、リゼット」
「いいえ。それで今後は、どれくらいの間隔でいらっしゃるんですか?」
「う~ん、そうね。いくら私が、魔石に魔力が定着する時間を短縮させたからといっても、まだ完了はしていないのよ。リゼットの体に負担をかけてしまうから」
「では、来ていただく度に短縮させてくれる、ということですか?」
「それは定着の仕方次第ね」
「定着した後はどうなるんですか?」

 私が納得していると、キッチンから飲み物を持って来たユベールが質問をする。

「折を見て、人間に戻る魔法を徐々にかける。リゼットが自力で戻るのが一番いいのだけれど、手助けをさせてほしいの。私がリゼットを人形にしてしまったから」
「気にしないでください。サビーナ先生がどれだけ後悔したのか、痛いほど分かるので」
「リゼット……」

 サビーナ先生はテーブルに手を伸ばし、ユベールが持って来た飲み物ではなく、私を持ち上げた。

「本当に可愛い子ね。連れて帰りたいくらい」
「サビーナさん! ダメですよ!」
「あら、少しの間くらいいいじゃない」
「ダメです。昨日、リゼットが約束してくれたんですから。それをすぐに破らせないでください」
「まぁ! 二人とも可愛いわね。これならリゼットが人間に戻るのも早くなりそうだわ」

 口を隠していたからだろうか。後半は私にしか聞こえないほど小さな声で言った。だから私も小声で質問をする。