潤一郎はキャバクラからタクシーでマンションに向かった。

あやかには接待のため、キャバクラに行くと伝えてあった。

さすがに部屋に入って、あやかの顔を見た時、気が緩んだ。

あやかに抱きついてしまった。

「大丈夫ですか、珍しいですね、こんなになるまで飲むなんて……」

「飲ませて、俺を誘惑しようとしたらしい」

あやかは黙ったままだった。

「でも、大丈夫だ、俺はそんな誘惑に乗らない、いくら飲んでも酔わないからな」

潤一郎はあやかの頬を両手で挟んで、囁いた。

「あやかに誘惑されたら乗っちゃうけどな」

あやかは真っ赤な顔をして俯いた。

「あやか、かわいい」

潤一郎はあやかにキスをしようと試みた。

しかし、あやかは顔を背けた。

「あやか?」

「潤一郎さん、酔ってますよ、いつもの潤一郎さんじゃないです、今お水持ってきますね」

あやかはキッチンに水を取りに行った。

(やべえ、あやかを目の前にして、気が緩んだ、俺としたことが……)

「はい、お水です」