「俺は村藤コーポレーションとは別に会社を立ち上げて、村藤コーポレーションの立て直しに奮闘していた、もう、白鳥不動産との契約を破棄しても村藤コーポレーションはやっていけるんだ、だから社長に契約破棄を申し出た」

「そんな……」

「だから、君との婚約も自動的に破棄になった」

あやかは息を飲んで潤一郎の話に耳を傾けていた。

「俺はあやかと結婚する」

衝撃的な潤一郎の言葉だった。

ゆかりは悔しい表情を露わにした。

「葛城、帰るわよ」

ゆかりはマンションを後にした。

潤一郎はあやかの方へ向き直った。

「あやか、俺は白鳥不動産との契約を破棄した、当然白鳥ゆかりとの婚約も破棄になった、
俺と結婚してくれ」

あやかは呆然と立ち尽くした。

(えっ、どうしよう、そんな急に言われても、頭が回っていかない)

「あやか、ゆっくり考えて返事をくれ、ごめん、俺、もう会社に戻らないといけないから、
行くな」

「は、はい、いってらっしゃい」

潤一郎は車に乗り込み会社に向かった。