あやかはドキドキしながら潤一郎の話に耳を傾けていた。

「今、俺に必要なのは、村藤コーポレーションを立て直すため、仕事に打ち込める環境だ」

(だから、ハウスキーパーが必要なんだ)

あやかはその環境作りを任せられていると感じた。

「あやか、俺の側にずっといてほしい、そして俺を支えてくれ」

潤一郎のあやかに対してのプロポーズだった。

しかし、あやかはハウスキーパーとして、仕事に打ち込める環境作りのためと

思ったのだ。

そして二人は見つめあった。

ここでキスを落とす展開なのだが、この二人どこまで歯痒いのだろう。

潤一郎はあやかから身体を離した。

あやかもキスして欲しかったのに、気持ちを封印してしまった。

二人はキッチンで並んでお皿を洗った。

時々触れる肩にドキンと鼓動が跳ね上がった。

そんな二人の関係は進展を見ないまま、時間は流れた。

ある日、潤一郎は会議に使う書類をマンションに忘れた。