確かに初めはイケメンで村藤コーポレーション社長である潤一郎に興味があった。

ところが、ゆかりにとって、潤一郎は真面目で面白みがない。

ゆかりはワイルドで危険な男が好きなのだ。
でも、他の女の影があることは許せなかった。

「潤一郎さんが雇い入れたハウスキーパーについて調べてちょうだい」

「かしこまりました」

ゆかりの側近である葛城は早速、あやかについて調べ始めた。

「ゆかりお嬢様、潤一郎様のマンションでハウスキーパーとして働いている女性ですが、

八神あやか、四十三歳です」

「なんだ、おばさんじゃない、心配して損したわ」

「いえ、それが、三年前まで村藤コーポレーションで働いており、潤一郎様と恋人関係だったようです」

「嘘!潤一郎はそんなおばさんのどこがよかったの?」

「結婚を約束していたようです」

「はあ?結婚」

「村藤コーポレーションの経営困難で、白鳥不動産との合併とお嬢様との婚約の話が持ち上がった時、八神あやかは潤一郎様の目の前から姿を消したようです」