同じ時間を共有できるかもしれない。

潤一郎は考えていた。

あやかとは結婚出来ない、でもハウスキーパーとして雇い入れたなら、同じ時間を共有出来ると……

「私、ハウスキーパーとして雇ってください」

あやかは力強い言葉で伝えた。

「ああ、決まりな」

「あのう、村藤コーポレーションが私の雇い主ですか」

「会社は関係ない、俺個人との契約だ」

「そうですか、よかった」

あやかは安堵の表情を見せた。

「住み込みでお願いしたいんだがどうかな」

「住み込み?」

あやかはまさかの潤一郎からの申し出に困惑した。

「アパートの家賃もったいないし、食事も仕事が遅くなった時、自分で温めるのも面倒だから……」

「でも、婚約者の方がいらした時、まずくないですか」

「来ないよ、それに秘密にするわけじゃないし、彼女にはカードキーは渡していない」

あやかは嬉しい反面、この申し出を受けてもいいのだろうかと悩んでいた。

しかし、潤一郎はスマホで契約書を作り、印刷を始めた。