あやかは驚きの表情を見せた。

「料理も片付けもやったことがないらしい」

(白鳥不動産のお嬢さんなら、当たり前か)

「潤一郎さん、ハウスキーパー頼まないんですか」

「ハウスキーパー?」

「潤一郎さんが仕事に行ってる間に、料理、洗濯、掃除とやってくれますよ」

「そうなんだ」

あやかは話ながらもテキパキと動き、部屋はみるみるうちに綺麗になっていった。

「なあ、あやかを雇いたい」

「はい?」

「そのハウスキーパーとして、どうかな」

「私は無理です」

「どうして?」

「東京に住んでいるわけではないですから」

「じゃあ、東京に引っ越してこいよ」

あやかは戸惑っていた。

まさか、そんなことを潤一郎が言い出すなんて……

「潤一郎さんには婚約者がいるじゃないですか」

「会社を存続させるためだけの契約上の婚約者だ」

潤一郎は吐き捨てるように言葉を発した。

あやかは考えていた。

潤一郎とは結婚は出来ない、でもハウスキーパーとして雇い入れて貰えるなら、