潤一郎はあやかを諦められずにいた。

ゆかりと婚約してから一年は酒を浴びるように飲み、部屋は荒れ放題だった。

そんな潤一郎の姿にゆかりも他の男性を求めるようになっていた。

ホストクラブに通い、お姫様のように扱ってくれるホストにはまったのである。

ゆかりの父親、白鳥不動産社長は頭を悩ませていた。

潤一郎は会社のためとゆかりとの結婚を考えていたが、白鳥不動産社長に考えさせて欲しい旨を伝えた。
ゆかりの父親は婚約が破談になってはこの先、ゆかりの婚姻に支障をきたすと、

婚約状態のまま、しばらく時間をくれと頼み込んでいた。

潤一郎とゆかりの関係は、冷め切ったまま三年目を迎えようとしていた。

あやかは梨花と食事をするため、久しぶりに東京に出てきた。

(やば、迷子になりそう)

梨花と待ち合わせの場所に着くと、ビルの大きな鏡に映し出された自分の姿に愕然とした。

(わっ、おばさん)

あやかは四十三歳を迎えようとしていた。

梨花はあやかとの待ち合わせの前日、社長室を訪れた。