次の日、会社に出社すると、あやかの退職届がデスクに置かれていた。

(えっ、あやか、どう言うこと?)

そこへ金丸がドアをノックした。

「失礼致します」
金丸は今朝早く、あやかからの退職届が郵送されてきた旨を伝えた。

「社長、昨日の白鳥ゆかり様との婚約を全社員に報告致します、よろしいですね」

「俺はあやかと結婚するんだ」

「失礼ながら申し上げます、弊社は白鳥不動産と合併致します、業績悪化を防ぐためです、白鳥社長も快く引き受けてくださいました、しかしゆかり様との婚約が条件です」

潤一郎は何も言えなかった。

村藤コーポレーション全社員を路頭に迷わすことは出来ない。

潤一郎は項垂れていた。

まもなく、村藤コーポレーションと白鳥不動産の合併が発表された。

それに伴い、潤一郎とゆかりの婚約披露パーティーが開かれた。

その頃、あやかは遠く離れた場所で、ひっそりと暮らしていた。

借金を返すために昼も夜も働いた。