久しぶりに日本に帰ってきたとき、父親が病に倒れた。

そして二十五歳で社長に就任することになったのだ。

潤一郎は学生時代から成績優秀で、頭がよかった。

一度目を通せば、すぐに覚えられる。

しかし、仕事はそう簡単ではない。

そこで、金丸が引き続き秘書になることになったのだ。

潤一郎は会議に出席した。

会議に必要な書類をまたマンションに忘れてしまった。

しかし、昨夜一通り目を通したので、頭には入っている。

役員連中は目を丸くした。

「もう、いいだろう、それじゃ」

「社長、どこに行かれるのですか」

金丸の声は潤一郎には届いていなかった。

潤一郎は早速総務へ向かった。

ドアを開けると、総務部長丸山が声を掛けた。

「社長、どうされたのですか」

潤一郎はキョロキョロしてあやかを捜した。

(あやか、いた)

潤一郎はあやかに近づいた。

「昼、飯食いにいこう」

「私はお弁当を持ってきているので、お断りいたします」

潤一郎は次の言葉が出てこない。