あやかは目が覚めると、隣には潤一郎が気持ちよさそうに眠っている。

(ああ、やってしまった、久しぶりの抱擁に最高に乱れた、どうしよう、早くここから出よう)

あやかは足を引きずりながら、服を着た。

(でも、私何もない、アパート帰るにもお金も鍵もない、連絡しようにもスマホもない)

あやかが頭をかかえていると、潤一郎が目を覚ました。

「おはよう、あやか、早いね、今食事作るね」

潤一郎がベッドから立ち上がると、あやかが声をかけた。

「社長、昨日はすみませんでした、お恥ずかしいところをみせてしまって、昨夜のことは
忘れてください、大人の一夜の過ちと思っていただければ……」

潤一郎は、あやかの言葉に信じられないと言う表情を見せた。

「一夜の過ちなんてつもりはないよ、俺はあやかと結婚したい」

あやかは目を見開いた。

(社長は何を言ってるの、二十五歳の社長と四十歳の私が結婚?)

「あのう、私はそんなつもりはありません」

「えっ」