潤一郎はあやかを自分のマンションへ連れて行った。

「少し眠った方がいい、薬が効いて眠たいだろう」

潤一郎はベッドで眠るようにあやかに促した。

足の痛みに涙がとめどもなく溢れて、すっかり弱気になっていたあやかは、ベッドに身体を横たえた。

しばらくして、あやかは目を覚ました。

すぐ、目の前に潤一郎の顔があって驚きを隠せなかった。

「きゃっ」

「大丈夫か」

あやかはこくりと頷いた。

「ずっと顔をしかめていたぞ、痛いのか」

(えっ、ずっとって、ずっとここにいたの?)

「痛み止めを処方してくれたから、飲むか」

あやかはじっと潤一郎を見つめた。

「どうした?」

「社長、どうしてそこまで優しく接して頂けるのでしょうか」

「いや、だって八神さんは大切な社員だから……」

潤一郎は自分の言葉に違和感を覚えた。

(大切な社員?)

「全ての社員にその気持ちを持っていたら、社長は神様ですね」
「えっ?」

「痛み止め頂けますか」

「ああ、今持ってくるよ」