「怪我してるじゃないか、病院まで連れて行くから、さあ乗って」

「でも、バッグをひったくられて、治療費払えません」

「バッグをひったくられたのか」

潤一郎はスマホを取り出して、警察に連絡を入れた。

「八神さん、バッグの形は?中身は何が入っていたの」

あやかはテキパキとこなす潤一郎が頼もしく思えた。

「バッグはすぐに見つかるよ、でも現金は諦めるしかないかな」

(どうしたらいいの?病院には行けない、家賃も払えない、明日から私どうやって生きていけばいいの?)

そんなあやかの様子に、潤一郎はある提案をした。

「俺のマンションにこいよ、怪我の治療費は俺が払う」

「そんなこと出来ません」

「困ってる時に俺を頼るって約束だっただろう」

潤一郎はあやかを軽々抱き上げて、車に乗せた。

(なんでこんなに軽いんだ、ちゃんと食事してるのかよ)

潤一郎はあやかを病院に連れて行った。

あやかは病院で手当を受けた。

曲がってはいけない方向に足が捻れたため、固定されてしまった。