「気にしないで下さい。私の問題なので」


「それ、見つからないとキミが困るの?」


あぁ、もう!


どうしてそんなに人の心配ばかりするのだろう。


答えるのも面倒になり、私は彼の方を見ることもなく、ただこくんと頷いた。


すると、少ししてからちゃぷんと水が跳ねる音が聞こえ反射的にそちらを向いた。


「え、な……何をしてるんですか?」


向いた先では、先程まで爽やかに笑っていた男がズボンを捲り上げ、靴と靴下を脱いで同じように噴水の中に入っていた。


その光景には、思わず声が出てしまった。


「困ると聞いたら放ってはおけないよ。それに、2人で探した方が早いだろ?」


そう言うと、男はがばっと雑に水の中を手探りで動かし始めた。