「でも、どうして一緒に探してくれたんですか?」
「さっきも言っただろ? 困ってると聞いたら、放っておけないって」
そりゃあそうだけど……。
でも、金持ちが他人のために、自分の手を汚して人を助けるとは思わなかったのだ。
金持ちは、他人から搾取する立場だから、金がある。
私は、この学校に入学したかったけど、金持ちは大嫌いだ。
「あ! そろそろ教室に戻らないと……」
このままでは、昼休みに1分も勉強できなくなってしまう。
そう思い、再度男に頭を下げた。
「ありがとうございました! ごめんなさい、私もう教室に……」
「うん。大丈夫だよ。特待生は大変だね?」
走り去る私の背中に、男がそう言った…のだが。
(あの人、どうして私が特待生ってこと知ってるんだろ……)
と、疑問が浮かんだ。