不器用すぎる私は、病院通いと受験勉強の両立なんて出来やしない。

出席日数に関しても、教師の恩情があったから、どうにか3年で卒業できたようなものだ。

毎年、多くの東大合格者がいるような高校なだけに、進学どころか、受験すらしていないのは、私ぐらいのものだった。

周りから憐れまれるのも、一軒家を維持するのも面倒なので、実家を売却し、仙台のマンションに移り住んで今に至る。

親の遺産を一人で相続した為、金銭的にはゆとりがあったが、精神的なゆとりはなかった。

だから、仙台に来たばかりの頃は、すぐには就職せず、ボランティア活動など、無理のない程度の社会参加をしていた。

夏川さんとの出会いは、そんなフラフラした暮らしの中でのこと。

たまたま、近くの障害者施設のお祭りがあって、そこでボランティアを募集していたので、参加してみることに。