18の頃に夏川さんと出逢ってから、あっという間に10年が過ぎた。

朝晩は大分涼しくなってきた頃、自宅マンションの屋上で、私たちは花火を楽しんでいた。

「ここの屋上、やっぱりいいね。思い切ってマンションを買ってよかったよ」

夏川さんが微笑んで言う。

彼は、私の住む分譲マンションに空室が出たとき、すぐに内覧に来て、そのままお買い上げ。

「かなり思い切った買い物だったんじゃない?」

「まあね。でも、毎月家賃払って、更新の度に引っ越し先に悩むことを思えば、いい買い物をしたと思うよ」

私たちは、相変わらず恋人同士のまま。

完全な同居となると、私にとっては厳しいが、毎日彼の部屋でご飯を一緒に食べて、他愛ない話をして過ごすことが、とても幸せだ。

「さてと…明日は朝早いし、そろそろ部屋に戻ろうか」

なんだか私まで眠たくなってきたので、頷く。