いつもよりおめかしした私は、夏川さんの職場の前のコインランドリーで彼を待った。

こうして洗濯物の回転でも見ていないと、心が酷く乱れてしまいそうだから。

「オリエちゃん、お待たせ!」

いつもと変わらない笑顔を見せてくれる夏川さん。

「あれ?なんか、今日はいつも以上に綺麗だね」

同じような服しか持っていない私は、せめて…ということで、近くの美容院で髪のセットを頼み、メイクもしてもらった。

今日でお別れになるとしたら、少しでも綺麗な自分を見せたかったから。

「気づいてくれて嬉しい」

「とりあえず、何処か行こう。お腹空いただろうし」

夏川さんの車に乗り、いつもと同じ角度の助手席で、ずっと切なさを感じていた。

イタリアンレストランに連れて行ってくれたのだが、珍しく食欲がない。