「お話があります。少しでいいから電話に出て欲しいの」

それだけ書いて、姉にFAXを送った。

数分後、小さなメロディと共に電話が点滅する。

「もしもし、お姉ちゃん?」

「…っく、うっ…」

電話の向こう側の様子がおかしい。

「ちょっと、どうしたの?」

「だ…旦那と…喧嘩して…っく…」

姉がこんなに酷く泣いているのは初めてかもしれない。

「…うっ、どうしよ…また…かこきゅ…はぁ、はぁ…」

「お姉ちゃん、落ち着いて。息を吸って、一旦止めて、ゆっくり吐いて。OK?繰り返してね」

自分が過呼吸を起こして倒れたばかりなので、もしまた発作が起きた時の為、対処法を頭に入れておいた。

ゆっくり呼吸を促す内に、姉は落ち着いてきた。

「大丈夫?」

「うん…はぁ…苦しかった…」

「やっぱり、電話するのキツい?」

「うん…悪いけど、メールかFAXがいい…」