電話でそう話したら、

「やめたほうがいい!何も名古屋大学じゃなくたって、大学なんて他にいくらでもあるじゃない?やめなさいよ」

その言葉に、強い拒絶を感じた。

姉が嫌悪しているのは、両親だけでなく、私もなのだろう。

血は水よりも濃いという言葉が真実ならば、なんて淋しい私たち…。

「オリエちゃん、大丈夫?」

夏川さんが心配そうに私の顔を覗き込み、ハッとする。

「あ…!ごめんなさい、大丈夫大丈夫!」

無理をしてでも笑わなければ。

その後の診察で、

「特に異常はないので、すぐにでも退院できますけど、どうしますか?」

医師に言われ、私は退院することに。

夏川さんが、自宅マンションまで送ってくれた。

「あれっ?そういえば、入院って保証人が要るよね?」

「ああ。親族でないとダメかと思ったけど、僕が婚約者だって言ってサインしておいたら問題なかったよ」