目覚めた時、自分が何処にいるのかわからなかった。

「オリエちゃん!よかった…」

聞き慣れた愛しい声にベッドサイドを見遣ると、夏川さんの頬は涙に濡れていた。

「夏川さん…私、どうしたの?」

「警察から話は聞いたよ。急に刺激の強すぎる情報ばかり飛び込んできて、びっくりしたよね?可哀想に…」

そう言われ、私は警察からの不穏な電話や押しかけを思い出す。

「ここ、何処?」

「病院だよ。過呼吸を起こして倒れてしまったけれど、検査結果は異常なしだったから」

「私、また夏川さんに迷惑かけたのね…」

「そんなこと気にしなくていいんだって!大丈夫だよ。警察には、僕のほうから、オリエちゃんに刺激を与えないことと、しばらく休ませるよう、ちゃんと言っておいたから」

「ありがとう…」

夏川さんの変わらぬ優しさに、安心する反面、哀しくなる。