隣のテーブルでは、

「知ってる?昔は、二人きりで焼き肉食べてる男女は、既に深い仲って言われてたんだって」

「えー何それ?でも、そう言われたら、ついそんな風に見ちゃうんだけど」

私と同じか、少し年下ぐらいのグループの子たちが、すっかり酔っ払って、そんなことを言いながらケタケタと笑っていた。

もともと、他人にどう思われたって全く構わない性格だったのに、最近は、ちょっとしたことを気にしがちな私。

それでも、自分一人のことならば、今でも全く気にはしない。

気にしてしまうのは、夏川さんにも関係すること。

「オリエちゃん、もう食べないの?」

テーブルの向こうの夏川さんに言われ、

「あ…じゃあ、あと一皿だけ、カルビ頼んでいい?」

「一皿と言わず、いくらでもどうぞ」

如何にも大人の余裕といった笑顔で、優しく私を見つめてくれる。