「日常生活でも、失くし物や忘れ物がかなり多いとか、怪我してばかりって言ってたじゃない。一度、病院で検査してみたらどうかな?」

夏川さんは、発達障害専門ではないものの、障害者施設で働いているだけのことはあって、いろんなケースを見てきたのだろう。

専門医を教えてもらい、検査したところ、案の定だった。

能力のバラつき具合が1000人に2、3人という珍しさだという。

得意な項目だけを見れば、いわゆるギフテッドなのに、低い項目は境界知能だとか。

「学校の勉強はできても、仕事になると全くうまくいかない発達障害当事者は割といらっしゃいます。合理的配慮のある職場で働くのがいいと思いますよ」

ドクターにそう言われ、努力不足ではなかったのだと安心したが、唐突にレッテルを貼られたような感じもして、とても複雑な思いがした。