昔から感覚が過敏すぎて、矯正器具の違和感に耐えられなかった。

「僕は、それも含めて可愛らしいと思うけどね」

ほんの一瞬、ドキッとした。

夏川さんは大人だし、素敵な男性でもあるので、そんな人に褒められたら、ときめいてしまうのも無理はないだろう。

「二次会はカラオケだって。オリエちゃん、カラオケは好き?」

夏川さんに尋ねられ、

「大好きです!」

すっかり酔っ払った他の職員たちから庇うように、夏川さんはずっと一緒に居てくれた。

私は、高校の文化祭で歌って好評だった、ジャニス・イアンの“At Seventeen”を選曲。

歌い終わった時に、周りがポカンとしていたので、

「あ…もしかして場違いでしたか?」

恐る恐る尋ねると、違う、そうじゃない、玄人跣の歌声にびっくりしただけだよ、と皆に言われ、安堵して隣を見遣ったのだが…。