待ち合わせ場所のコインランドリーで、ぐるぐる回転する洗濯物をずっと眺め続けていた。

誰の洗濯物かも知らないが、こんな風に回転するものは、不思議といつまででも見ていられる。

「オリエちゃん!遅くなって本当にごめん。会議が長引いてしまって…」

大慌てでコインランドリーに駆け込んできた人の声に、ふと我に返る。

「ううん。ここなら退屈しないし、大丈夫」

大好きな人に、微笑んでそう答えた。

「本当にごめん。30分も待たせてしまったね…」

「え?そんなに経ってたかな?気付かなかった」

「お詫びに、今夜は焼き肉かお寿司でもどう?遠慮せず好きなだけ食べてよ」

「やったぁ!嬉しい」

私は、長年の付き合いになる最愛の人――夏川さん――のシャツの袖をつまむと、コインランドリーをあとにした。